駒場の大学研究センターの大ケヤキのピカス診断(2018年7月4日)

スタッフの山田です。

木風に所属して約10ヶ月、実はこの記事が初投稿です!

ということで、簡単にご挨拶をさせてくださいね。

 

ご挨拶

みなさん!初めまして。樹木医補の山田香菜子です。株式会社 木風

アナウンサーとしてテレビ・ラジオで活動をしながら、樹木のお仕事をさせていただいています。

もともと千葉大園芸学部で樹木の勉強をしていたのですが、テレビ番組で、樹木のコーナーを立ち上げることになったことが樹木の仕事を始めるきっかけです。

葉っぱを見て樹木の名前を覚えるところから始まり、樹木の特性、治療方法など、恋をするかのように樹木と向き合っています。

樹木の魅力を多くの方にも感じていただき、もっと身近に樹木を楽しめるような環境作りをして行きたいと思っています!皆さん、一緒に樹木に恋しましょうね。宜しくお願いいたします。

 

ケヤキの精密診断(ピカス診断)

さて、初投稿は、

先日ご依頼がありました、目黒区駒場の某大学研究センターにあるケヤキの精密診断(ピカス診断)の様子です。

S__8593514    S__8593520

こちらのケヤキ、根元に目を落とすと、大きな根が道路側のコンクリートをバギバギと破壊し始め、浮き上がらせています。今後の成長も心配されてか、精密診断のご依頼をいただきました。

このケヤキの最大の特徴は、地上約1mのところで幹が二股に分かれているところ。

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ということで、診断は左幹・右幹と2箇所で行いました。

それぞれの幹にセンサーを取り付けて、左幹・右幹の健康状態を診てみた結果、

それぞれの幹の内側のみに腐朽している(あるいは組織が弱っている)部分が確認できました。

ケヤキ2?ケヤキ1

数値的にも倒木の危険性はほぼないと考えられましたが、なぜ内側のみに腐朽が!?

 

内側のみに腐朽の謎

では、二股付近をよ?くみてみましょう!

S__8593524

このケヤキは、この二股部分で枝分かれしたのかな?と考える方も多いと思いますが、枝分かれする直前の幹表面をよ?く見てみると、左右からギュ?っと圧縮したかのような縦ジワがありますよね。

実は、元々は2本の子株だったものが、成長の早い段階で癒着し1本のケヤキになったと考えられる証拠が、この縦ジワなんです。

つまり、地上に近い大きな一本幹の中央には、もともと2本の樹皮組織が今でも残っていると考えられます。

このように木部内に巻き込まれるように残っている樹皮組織を「入皮(いりかわ)」と言い、この部分に少しずつ少しずつ雨水や腐葉土が入り込み、腐朽が始まっていると考えられるわけです。

樹皮は内側に巻き込んでいる入皮と外にも押しやられてシワになっていると思われます。

だから、2本の幹がくっついた内側部分に特に腐朽が見られるという結果になったんですね!

 

治療する場所は根の部分

地上部はほぼ健康という結果でしたが、気になるのは、根が地上に盛り上がる「根上り」です。

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根の生育範囲がコンクリートで制限されているため、酸素や雨水を求めて地上へと上がってきてしまっています。

このままだと、根上りが進み、さらにコンクリートを破壊することになります。

今あるコンクリートを少し取り除いてあげたいですね。

そうすると、生育に十分な酸素と雨水が供給され、根上り現象が少しずつおさまってくるでしょう!!

 

 

ひとこと

この度は当社にご依頼をいただきありがとうございます。

樹木は、何も喋りはしませんが、樹木の何処かにサインを出してくれています。

あれ!?このサインって何だろう?と思ったあなた!

もうそれは、樹木への恋心が芽生えたのかもしれませんね。

サインを見逃さず、樹木と会話をしてみてくださいね。

 

 

 

 

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