樹木医の後藤瑞穂です。
昨年より奄美大島の加計呂麻島のデイゴの調査を行っています。
スタッフブログもアップしていますが、私からも過去にさかのぼってご報告したいと思います。
元々は私の祖母が40年ほど前に当時無医村だった奄美諸島の与論島に医師として赴任していたのがこの仕事のきっかけとなっています。
祖母からもらった星の砂にロマンを抱き、いつかこの島を訪れたいと長いこと想像していました。
時は流れ、孫の私は人間の医者ではなく、樹木のお医者さんとして関わることができました。
折に触れて奄美への憧れを口にしていたところ、奄美出身の方とご縁ができて、2017年11月にボランティア診断に出かけることになり、その後瀬戸内町から診断の依頼が来たのでした。
調査はその後基礎調査、精密診断と進み、現在は今後どのように保全していくか?を検討しているところです。
費用の問題が大きいのですが、今はクラウドファウンディングなどもありますので、地元の方と島出身の方々の理解と協力を得ながら新しい発想で保全できればと考えています。
さて、ボランティア診断の時の結果は腐れ無く大丈夫でしたが、その年の初めに大きな枝が突然落下する事態も起こり、地元の方は心配しているとのこと。
腐朽率は1%でした。健全な状態です。※簡易診断の為円形モードで計測しています。
ここ数年は、デイゴヒメコバチという外来の昆虫による食害が酷く樹勢を衰退させている、ということも大きな問題になっていました。
地元の樹木医さんも賢明な処置を行っていましたが、道半ばで他界されているという事情もあり、今後のデイゴの行方が懸念されているところでした。
美しい歴史ある並木であると同時に住んでいる人たちにとっては防風林として現実的な役割を持っている樹木で、その関わり方は切実です。
樹木医はそんな人と樹木の関係を繋ぐ架け橋のような存在だと思います。
地元の方へにお役に立てるような保全の仕方を今後どのように進めていくか、大きな課題です。
人によって考えが違いますし、最終的には人間が管理するものですから。
関心のある人もいるし、いない人もいる。
中にはデイゴの花が咲くと大きな台風がやってくるから不吉だからいらない、と言う声もあるとか?
これは迷信ですね・・・。さすがに花が咲くから台風を呼ぶほどの力はないでしょうし、むしろ台風に備えてほしいというデイゴからのメッセージではないでしょうか?
このデイゴ並木は寅さんシリーズの最後のロケ地としてフアンの方がたくさん訪れています。
観光資源としても、元気に存続して行くことが望ましいですし、みんなに愛される樹木にしていくお手伝いができれば最高です。
はてさて、今後の展開はどうなるのか?・・・
2に続きます。