光照寺スダジイの治療を実施しました(日本樹木遺産 第3号)
6月10日、日本樹木遺産第3号に指定されている「光照寺のスダジイ」の治療を行いました。 今年は治療の最終年度となります。
あいにくの雨模様でしたが、作業中は幸いにも雨脚が弱まり、午前中のうちに無事作業を終えることができました。
今年の主な作業内容
今年は、昨年度の作業時にはまだわずかに生きていたものの、その後枯れてしまった2か所の枝を除去しました。
さらに、空洞部分には主根や側根以外から発生する「不定根」が多数確認されたため、それらを太く育てて樹勢の回復につなげる処置(以下「不定根誘導」)を行いました。



空洞部への不定根誘導の工夫
一般的な不定根誘導では、資材を入れて不織布やシートで巻き付ける方法が用いられます。しかし、光照寺のスダジイの空洞部は地上から直接手が届かず、高さ3メートルほどの上部からしかアクセスできないうえに内部のスペースも限られています。
そこで今回は、上部からでも対応可能な簡易的な方法を採用しました。実際に作業に入ったところ、何とか人が空洞内部に入ることができたため、急遽方法を変更し、1人が直接空洞内で不定根部分にピートモスを貼り付ける作業を行いました。


水に浸したピートモスをバケツで内部に運び込み、根に直接貼り付け、最後は敷き詰めた資材が流れ出ないように、穴をあけたシュートをかぶせて蓋代わりとしました。 この木の空洞内では、すでに幹のように太く発達した不定根が育っています。今回の処置を行った箇所からも同様に太く力強い根が育ち、この木の生命力の支えになってくれることを願っています。


地域の皆様とともに

当日はあいにくの天候にもかかわらず、光照寺の檀家の方々作業を見守りに来てくださいました。公開診断の時から毎回欠かさず足を運んでくださっていることに、心より感謝申し上げます。
スダジイは日本樹木遺産に指定された当時が樹勢のピークでしたが、その後は台湾リスの食害などにより衰弱が進んできました。
しかし、わずかに残った枝と、不定根の成長が、今後の回復への希望をつないでくれることを信じています。
最後に

三浦市には保護樹木が22本ありますが、年々その数は減少傾向にあります。
数百年にわたりこの土地を見守ってきた大樹を守り、未来へつないでいくことは、三浦市の貴重な文化・自然資源を残すことにもつながります。
この報告をご覧いただいた方の中から、日本樹木遺産の保護活動を応援してくださる方が一人でも多く増えていくことを願っております。