【樹木診断】茨城県つくば市のK本社の樹木診断を行いました。(メタセコイア編)

茨城県つくば市にあります、この地域のスーパーマーケット大手K本社の樹木診断を行いました。
今回の診断対象木は、「ソメイヨシノ」と「メタセコイア」と「センペルセコイア」です。

ソメイヨシノの診断は多いのですが、「メタセコイア」と「センペルセコイア」の診断は多くはないので、今回ご紹介したいと思います。

 

【メタセコイア編】

ヒノキ科メタセコイア属で、針葉樹には珍しい落葉樹。和名は曙杉(あけぼのすぎ)。

葉は、カヤなどに似ていますが、ずっと柔らかくて明るく優しい印象です。(カヤやイチイは冬に落葉しない常緑樹です。)
周囲に気根が出てくることで有名なラクウショウにも似ていますが、①ラクウショウは枝が互い違いにつくこと。②葉がより細くて短いことで、見分けられます。

本種メタセコイアは「生きた化石」として有名で、1属1種の(孤高!?の)樹木です。
京都大学で古代植物学を研究していた三木茂博士によって、1941年和歌山県橋本市などで発見されたいくつかの化石をもとに、新属として発見・命名されました。これまでの知られていた北米のセコイヤ属と比べて、いくつかの変異を認め、化石から新属を設立。(ものすごい観察力と着眼点、忍耐力だなと思います!!)
その後、1946年中国の湖北省の山村で、神木とされていた針葉樹が、メタセコイヤ属であると同定されました。
1948年には、アメリカの古植物学者チェイニー博士が、湖北省から種子をアメリカに持ち帰り苗を育成。
翌年1949年アメリカで繁殖に成功した苗木の第1号が、生物学者でもありました昭和天皇に献上され、吹上御所に植えられたそうです。
さらに翌年1950年には、アメリカより100本の苗木が送られ、日本での保存・育成・普及が呼びかけられ、国内でも苗木の育成が広まりました。

約300万年から100万年前には日本にも多く自生していたという、このメタセコイアが一度は絶滅したけれども、中国で発見され、アメリカで繁殖されて、日本に戻るかのように植えられた。そして、いま現在、日本各地で素晴らしい景観を作っていることは、とても興味深いことだなと思います。

また、当時の世界情勢・状況を重ねたときに、三木博士やチェイニー博士ほか、尽力されていた関係者の方々に想いを馳せずにはいられません。
昭和天皇も、この木の成長を戦後日本の復興の喜びと重ねていたかもしれません。

 

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↑美しい樹形が特徴です。

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↑樹皮は縦向きの筋が目立ちます。

メタセ

↑精密診断機器PiCUSによると、腐朽・異常はありませんでした。

天気よい冬空の下、景観の美しさにほれぼれしながら、歴史に思いを馳せ仕事する日でした。(*´▽`*)
ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

(T建設様、いつも爽やかな現場をありがとうございます!)

スタッフ片岡

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