【日本樹木遺産協会】光照寺スダジイの公開治療

6月5日、日本樹木遺産第3号指定光照寺スダジイの治療を行いました。

このスダジイは、推定樹齢600年の三浦市保存樹木で、かまくらと三浦半島の巨木・名木50選に選ばれており、光照寺が建立される前から生育していた地域のシンボルツリー的存在です。後世に残すべき樹木として昨年11月21日に日本樹木遺産に指定されました。

指定日に開催された公開診断ではピカス音波計測機器精密診断を行いましたが、結果は腐朽率75%でした。

腐朽率はかなり高い結果でしたが、後世に残すべき樹木として、できる限りの樹勢回復を目指し枯枝の除去と土壌改良を行うことにしました。

今年は枯枝が更に増えていましたので、幹からの胴吹き枝の成長を促進していくための作業を中心に行いました。

具体的には、枝の上部の枯枝の除去と、樹勢を回復させるためのブレスパイプバンブーの設置、液肥の土壌灌注作業です。

まずは、枯枝除去です。

公開診断時から協力いただいている石井造園株式会社さんに依頼し、特殊伐採技術の訓練を積んだツリークライマーがひとつひとつ枝を見ながら作業を行いました。

少しでも生きている枝は残し、枯れている枝は伐採します。あまり切りすぎても樹体に負担がかかる可能性もあり、また時間の都合から枝部分のみにとどめました。

しかし、腐朽進行した枝は安全性の確保のため、枝の太いところで伐採しました。

伐採後の切口は腐朽菌の進行を防ぐ成分含有のキニヌールを塗布しました。

土壌改良作業は、通気性透水性だけでなく施肥効果もあるブレスパイプバンブーを12本各所に埋め込む作業を実施しました。

根の伸びていそうな場所を12カ所選び、30㎝の穴をあけ、ブレスパイプバンブーを埋め込みました。

その後、液肥の土壌灌注を行いました。ブレスパイプバンブーの周りを中心に、土壌に貫入器を差し込み灌注していきます。灌注は散布に比べ根に届きやすくなる効果的な方法です。

今回使用した液肥はアルム純とアルカリ電解水でした。アルム純は12種類の漢方生薬と発酵原液をベースにブレンドされた活性剤で根の働きを活発にしてくれます。また、アルカリ電解水は電子を多く含み、各必須元素や微量元素のイオン化を促進させ樹木や植物への吸収を促し成長を促進させてくれます。

土壌を掘削した際、土壌が固い場所が多かったので、今回の土壌改良で土壌環境が改善され、根が成長することで樹勢が回復することを期待したいと思います。

昨年のうちに枯れた枝も多かったため、予想以上に枯枝が多く作業が難航し、作業終了は18時になりました。

しかし、この日の作業のために集落から2名の方が見に来てくださり、作業が終わるまで見守ってくださいました。お墓が壊れないように毛布を貸してくださりと様々なご協力をいただきました。

夕暮れ時にスダジイと記念撮影。

スダジイも夕焼け色に染まりとてもきれいでした。

枯枝の除去により樹形は乱れましたがこの樹木の負担が軽くなり、少しでも回復することを期待します。

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